神奈川県・ソニー学園 湘北短期大学 / 総合的に学べる短大で、Unityを使ってものづくりを体験してもらうこと

昭和49年、神奈川県厚木市に誕生したソニー学園 湘北短期大学。ソニー株式会社ファウンダー、井深大氏が建学した総合系の短大だ。最初は電気工学系、家政系で構成されていたが、現在は総合ビジネス・情報学科、生活プロデュース学科、保育学科で構成されている。

厚木を地元にする学生が多く、内訳は女性が9割、男性が1割。その中の総合ビジネス・情報学科、情報メディアコースにて、Unity教育が行われている。担当するのは高木亜有子先生。信号処理・画像処理とかの研究者から、本大学で教鞭を取る教育者となった。毎年Global Game Jamの会場として学内を提供するなど、ゲーム教育に意欲的に取り組んでいる。Unityは、2012年にリリースされたUnity4というかなり早い段階から導入しているという。

高木亜有子先生

「私のゼミで、Unityを導入しています。2016年には既に学生が作ったカードゲームをアプリストアでもリリースするなど、学生も意欲的に取り組んでいます。合わせて実物のカードゲームも作って販売しました。『物がちゃんとできる』っていうのは、やっぱりすごく学生にとっては嬉しいみたいですね。アプリストアで配信すると『ちゃんと実機で動くんだ』って喜んでくれるんです」(高木先生)

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総合大学の魅力は、様々なジャンルが学べるということ。

「ビジネス・情報学科はその名の通りビジネス系と情報系が合体している学科なので、企業や財務、ビジネス社会の基礎など、情報系ではない授業のほうがむしろ多いんです。だから専門的なことだけを学ぶのが不安だから、幅広いほうがいいという理由で、本学を選ぶ学生は結構います。私が担当しているのはWeb制作や3DCG、ゲームなんですが、例えばWebデザイナーになりたいけど、簿記や会計も学びたいというように、幅広く学べそうだから本学に来るという学生も多いです」(高木先生)

Unity を導入して圧倒的に楽になった

そこでなぜUnityを導入したのだろうか?

「私自身、ゲームが好きだからというのもあるんですけど、ゲームって、作ろうと思うとプログラミングとかグラフィックとか、たくさんの要素が含まれているんですよね。だからいろいろな知識が必要だし、普段自分たちが触れているものがどうやって作られているのかを知ってほしいんです。ほんのひとかけらでも、自分で作ってみたら、「ああ、ゲームを完成させるのってこんなに大変なんだ」という、製作者の苦労を体験できる。そこでゲーム業界を目指す学生もいればいいし、そうでない道に進んでもそういった経験はきっと役に立ちます」(高木先生)

Unity を導入して変わったことは何だろうか?


「以前は C 言語のライブラリで作っていたり、ActionScript で作っていたんですが、Unity を使うことで圧倒的に、ゲームのような、いわゆるビジュアル面の物を作るのが、すごく楽になりました。 Unity だと 3D のものも簡単に動かせるので。そこがすごくありがたいし、学生がちょっと触るだけで何かを完成させられるという達成感を感じられるのが、他のソフトよりも断然楽というか、手間なくいい感じに出来上がるというのは、 Unity の使いやすさならではですね」(高木先生)

UAAのメリット

高木ゼミでは、Unity の他にもキャラクターを作りたい学生にVRoid(※Unity製)を使わせる授業を行なっている。また産学連携の取り組みも行っており、卒業制作としてWebサイトと携帯アプリを制作している。高木先生自身も、UAAの特典としてのワークショップ(アソシエイト、3Dアーティストと、プログラム)を受講するなどアップデートされるUnityの情報を意欲的に吸収しようとしている姿勢だ。


「新しい情報を自分でキャッチアップするって、なかなか難しいんです。授業の方に時間を割かれてしまうので。だから、そうやって教えてもらえる機会があるのはありがたいですね」(高木先生)今年はコロナ禍の影響で学園祭もオンラインになったが、そこではバーチャルSNSのClusterでワールドを作った。学生はUnityの基本のオブジェクトのみで部屋を作ったという。

女性でもプログラミングを楽しみながら学べる

一般的にIT業界は女性が少ないという現状があるが、湘北短期大学ではIT系に就職する女子学生も少なくないという。
「プログラミング教育のハードルは男性でも女性でもほとんど変わらないですね。みんな楽しく取り組んでいます。情報メディアコースではSEやプログラマー、WEBデザイナーなどのIT系に就職する学生も多くて、本学の女子学生を採用したいという会社もありますね。これからはもっとプログラミング教育に力を入れて、IT業界で活躍する学生を増やしたいですね」(高木先生)

エラーを試行錯誤しながら消していって、やっと完成したときの達成感

(左)永野桃子さん、(右)長崎優希音さん

総合ビジネス情報学科情報メディアコース、メディアデザインフィールド1年生の永野桃子さん、長崎優希音さんにUnityをどのように学んでいるのか話を聞いた。


「私はゲームにもともとすごく興味があって、あとは絵を描くのも好きだったことがあるので。それでメディアデザインフィールドという、絵も描けるし、ゲームも作れるという、すごく自分にとって最適な学科があるんだなと思って、興味を持って入りました」(永野)


「私は高校生のときに進路を考えたときに、パソコンを使った何かがしたいと思ったのが動機です。YouTubeでいろいろな動画とかを見るのが好きで、見ているうちに、動画を自分で作ってみたいなと思うようになって。それで紹介してもらったのが本学だったので、すぐ決めました」(長崎)


「学祭ではUnity上でこの学校をバーチャル空間として再現したんです。プログラミングにはこの学校で本当に初めて触れたので、全て新鮮というか、未知というか、手探りでした」(永野)


「改めて自分が作ったものを見るとすごい嬉しくて、惚れ惚れしちゃうんです(笑)。最初にUnityを触った時にアクションゲームを作ったんですが、たくさんエラーが出ちゃって。そのエラーを試行錯誤しながら消していって、やっと完成したときの達成感がすごく嬉しかったです。乗り越えた上での完成だったので、「やったー!」って思いました」(長崎)

「プログラミング、メチャメチャ楽しいです。元々すごくやりたいことだったので。将来は、IT系に就職したいと思っています」(永野)


「私も将来はクリエイティブなことがしたくて。学生時代に頑張ったって、胸を張って言えるので、就職活動にも自信を持って臨みたいと思っています」(長崎)

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