新潟・NCC 新潟コンピュータ専門学校 / プログラマとプランナーが協力し斬新なサウンドゲームを作る!

新潟県新潟市に拠点を構える「NCC 新潟コンピュータ専門学校」(以下NCC)。県内だけでなく、近隣県や東北、近畿、沖縄などからもクリエイターを目指す学生が集まっている。入学者の9割が初めてクリエイティブツールなどに触れる初心者だが、就職率は11年連続100%だという。

このNCCにて、Unity主催のゲームジャム「UAA Game Jam2023」が開催された。日本全国のUAA加盟校を会場とし、加盟校の学生に向けたゲームジャムである。参加する学校数は大学・専門学校合わせて20校超、13都道府県で行われる大規模なイベントだ。NCCではゲームクリエーター科からゲームプログラム専攻・ゲームプランナー専攻の学生、合わせて35人がUnityを使ったゲームジャムに挑んだ。

目次

チーム編成にも一工夫

ゲームジャムが行われた会場

ゲームジャムのお題は「サウンド」。本ゲームジャムではUnityスキルの習熟度を証明するUnity公認資格「Unity認定資格」がまず紹介される。「Unity認定資格」ではゲーム制作全般に関するスキルを身に着けていることが問われるが、その中にはサウンドに関する問題も含まれている。今回のゲームジャムでサウンドを取り上げるのは、専門学校で学ぶカリキュラムでは触れられることが少なく、学生たちに実戦形式でサウンド関連のスキルを身に着けて欲しいという思いからだ。また、合わせてUnityにおけるサウンド・エフェクトなどに関する講義が約1時間半に渡り行われた。

学生のアイデアが詰まったふせん

講義の後は5人組のグループに別れ、企画からスタート。「サウンド」というシンプルなお題から、学生たちがそれぞれのアイデアを話し合い、融合させて広げ、企画にしていく。ブレインストーミングには模造紙やメモ用紙を使ったり、ブレスト用のクラウドツールを使うチームも。NCCゲームクリエーター科でUnity教育を担当している志田祐介先生には、最初のグループ分けの段階からある狙いがあった。

「ゲームジャムの参加者はプログラマがメインですが、プランナーもメンバーに入るように満遍なく調整しました。また、三年制の先輩と後輩も組み合わせています。ゲームジャムでは短時間で意見をまとめていくことが必要とされます。先輩のやり方を間近で見て学び、自分自身の成長に繋げて欲しいと思いチーム構成を行いました」

企画がまとまったら制作へ。30分でまとまるチームもあれば、2時間以上かかるチームも。しかし一つとして同じ企画はない。あとは、明日の発表に向けての開発に打ち込むのみだ。

ゲームジャムで試されるのは瞬発力

NCCゲームクリエーター科 志田祐介先生

志田先生は、ゲームジャムに参加した理由をこう語る。

「以前、NCCでもゲームジャムを行っていたこともあり、ゲームジャムは学生が力を身につける絶好の機会だと知っていました。NCCでは一年生の中盤からUnityを学び始め、その後チーム制作や個人制作を行っていきます。授業で3〜4ヶ月かけて行うゲーム制作を、二日間で行った時に試されるのは瞬発力なんです」

瞬発力とは、これまでにどれだけ力をつけてきたのか、ということが試されるということだ。

「NCCゲームクリエーター科のモットーは、学生たちが実際に作って自分たちの力で組み上げていく力を身に着けてもらう、ということです。ゲームを作るためには、まず基礎の力をつけ、試行錯誤しながら基礎で学んだことを応用していくことが必要とされます。授業では課題のための資料などもあるので、答えが明確に示されていますが、ゲームジャムはその正反対。作品制作と同じように、自分で考えて、自分で手を動かしてみて初めて解決することができるという壁に学生たちがぶつかる体験ができるんです。これは学生たちにとってすごく良い経験になります」

二日間の結果を発表!

二日間の制作の締めくくりは、出来上がったゲームの発表だ。ゲームのコンセプト、遊び方、狙い、面白いところなどをプレゼンする。また逆に、アイデアはあったけれど時間が足りず実装ができなかったところなども語られた。今回作られたのは、「9つのマスにテンキーを割り振り、テンキーを押すことでブロックを削って音を鳴らすゲーム」、「マウスで置いていく足場を踏むとメロディを奏でるゲーム」、「太鼓を叩いて音のピッチを上げることでキャラクターがより高くジャンプし、ゴールの月にまで到達するゲーム」、「リズムに合わせてハンマーを当てて塔を作り、最後に積み上がった塔の高さの分だけ花火が打ちあがるゲーム」、「ブロックにボールを当てて音を鳴らし、その音を重ねて音楽を作るゲーム」など個性的な作品ばかり。

講師をつとめたユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの石井勇一は「ゲームジャムでは、普段の勉強では味わえないスタイルでゲーム制作に携わることができる。シーケンスを組んだり、ピッチを使ったゲームもありましたが、学生の皆さんは、今までサウンドについてここまで考えた経験はないのではないでしょうか?そうして、経験が無いことにチャレンジし、自分で考えて実装することで力がつきます。そもそも、最初は『時間内に何かをやる』ということが難しいんです。ゲームジャムを通して、結果の出し方を学んだのではないでしょうか。これからは、楽しそうなゲームがあったら『Unityでどう作ろう?』と考えてみることをおすすめします」とコメント。

志田先生は「ゲームジャムはNCCでは数年ぶりの開催です。二日間、苦しい思いもしたのではないでしょうか。自分の得意・不得意なところを痛感したと思います。これまで授業で習ってきたことはあくまで最低ラインで、どれだけ作ってきたのか、という経験が自分の力になります。機能を実装しようと考え、調べ、作成し、その結果として身につける。その積み重ねが大切なのです。Unityは書籍や公式のチュートリアル『Unity Learn』などたくさんの情報があり、ハードルが低いのが魅力です。ぜひ基礎的な力を身に着けた後は、シューティング、アクション、ブロック崩しなど、様々なジャンルのゲームがどう作られているのかを自分で試してみてください」とコメントした。

サウンドを主軸にした斬新なアイデアと実装力

最優秀賞作品に選ばれたFチーム
Fチームが制作したゲーム

最優秀作品に選ばれたFチームが作ったのは、シーケンサーをクリックして音を変えるとキャラクターが動き、リズミカルにジャンプし進んでいくサウンド・ランゲーム。

Fチームのメンバーはゲームクリエーター科 ゲームプログラム応用コース 3年 吉田 巧さん、IT総合学科 ゲーム・VR専攻 大学併修コース 3年 片桐 将太さん、ゲームクリエーター科 ゲームプログラム応用コース 2年 池田 裕さん、ゲームクリエーター科 ゲームプログラム応用コース 2年 加藤 梨久人さん、IT総合学科 ゲーム・VR専攻 大学併修コース 2年 細山 純叶さん。

「プレイヤー自身の意思で動くのではなく、サウンドによってプレイヤーが動くと面白いと考えた」という。サウンドを主軸にした斬新なアイデアと実装力が認められ最優秀作品に選ばれた。アイデアをまとめるのに3時間かけたという。

苦労した点は、「プレイヤーとキャラクター、背景などを合わせた雰囲気に合ったBGMを探すこと」「チームで制作したので、データを合わせる時に不具合が出ないようにするのが大変だった」こと。授業では個人制作が、チーム制作の難しさを知ることができたという。

またUnityで開発した感想は、「実際に作品を作ってみて、Unity上で音の加工が出来ることを知った」「GUIで開発できるので、今何をやっているのかがわかりやすくて楽しかった」とのこと。次回作があれば「音にエコーをかけたり、ピッチを早くしたり、エフェクトに力を入れたい」と意欲を見せてくれた。

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