【動画】京都・京都デザイン&テクノロジー専門学校/ UAAのカリキュラムフレームワークで初学者もゲーム開発を

2022年度に京都に開校した京都デザイン&テクノロジー専門学校。ゲーム・esports・CG・VR・ロボット・UI/UX・AI・ITなど、18もの専攻があり、学生たちが「好き」を仕事にするために日々研鑽している。その中のゲーム専攻ではUnityがカリキュラムに取り入れられている。

UAA(Unityアカデミックアライアンス)で特典として提供されているカリキュラムフレームワークを活用した授業を行い、学生たちが実際にゲームを作った。カリキュラムフレームワークとは、講師が AR、VR、ゲーム、AEC などを教えるためのUnity Learnプログラムを目的別に統合し、現場で活用できる実践的なガイダンスだ。開校以来初めて行われた第一回進級制作展ではプロジェクトのプレゼンテーションが行われ、第一線で活躍するゲーム開発者をゲストから講評をもらうなど大々的に発表された。

第一回進級制作展でのプレゼンテーション
目次

UAAのカリキュラムフレームワークはいかに活用されたか?

「当校は、滋慶学園COMグループでもっとも新しい学校になります。滋慶学園COMグループには札幌から福岡まで同分野の姉妹校があり、そのノウハウを生かして人材育成をおこなっています。京都デザイン&テクノロジー専門学校は、テクノロジーで創造力を仕事にする学校です。産学連携教育を教育の核とし、業界とともに即戦力を身に付けるべく、売れる勝てる商品作りを、実学の場として学んでいます」

と坂口時次学科長は語る。

坂口時次学科長

「ゲームワールド(ゲーム分野)には、4年制と3年制がありまして、Wメジャーカリキュラムという教育システムを導入しています。ゲーム専攻の学生でも、ゲーム以外の映像やeスポーツまでを学べるようになっているので、多くの強みを持って社会で活躍してほしいと思っています」(坂口)

中谷幸一先生

授業を担当されている中谷幸一先生にお話を聞いた。

「昨年新設された学校ということで、今年初めての一期生が授業を終えたところです。ゲームの授業と映像の授業でUnityを使い、Unityのスキルを学んで実際に作品を作ることができるところまで教えるという内容で授業を進めました」

どのようにカリキュラムフレームワークを活用したのだろうか。

「講師は、それぞれのUnity Learnのレッスン内容を準じカリキュラムフレームワークの内容に沿った授業を行いました。難易度については、基本的に初めてUnityを触る学生が多いので、初心者向けの内容から進めていく形で授業を進めていきました。Unity Learnは、現在では日本語にかなり翻訳された状態のレッスンが増えてきていますので、初めてUnityを触る学生であっても取り組みやすい内容になっていると感じました」

カリキュラムフレームワークを使ったメリットは?

「カリキュラムフレームワークのメリットは、ゲームに限らず映像であったり、その他産業向けのカリキュラムフレームワークがあることです。ここにはいろいろなジャンルのコンテンツを作っていきたい学生がいますので、その点を踏まえてもどういった点から学んでいくべきかがわかりますし、たくさんの機能がUnityにはあるので、様々な選択肢から自分が何を作りたい、どういった方向を目指したいのかということに合わせてカリキュラムフレームワークの内容を参照しながら学習を進めていくことができると感じています」

また、カリキュラムフレームワークの学習のしやすさについても語ってくれた。

「カリキュラムフレームワークの構造が、『ここから順番に学んでいきましょう』というような形にしっかりなっているので、自身の到達度自体をチェックできる内容になっていると思います。カリキュラムフレームワークを学生自らが使用して学習していくというケースでも、カリキュラムフレームワークで自分がどこまでのスキルを習得しているのか、どのスキルが足りていて足りていないのかということのをセルフチェックをしながら学習を進めていけると思います」

学生自身が学んでいける構造ということで、Unity認定試験の受験も考えているという。

「カリキュラムフレームワークの中で掲載されているプログラマー向けとデザイナー向けの認定試験があるので、学生が実際にどのぐらいのことができるかということを認定試験で試してみたいです。どこができているのか、できていないのか、そういった点を認定試験を受けることで振り返りながら、さらに学習を進めていくことができると思っています」

第一回進級制作展では様々な分野のプロジェクトの展示発表が行われた

現在可能性を感じているのは映像分野

TimelineとChinemachine 機能を使用したシーン

専攻の違う学生でも使いやすい内容だったという。

「学生は二通りに分かれていて、プログラムコースの学生と、デザインをメインにしたコースの学生にUnityを教えています。ですから、プログラムをすること、特にゲームプログラムを初めて学習するという学生が多いのですが、Unity Learnで学んでUnityでゲームを制作する、プログラムを学ぶというのは学生にとってもかなり取り組みやすかったのではないかと感じました。Unityが良いのは、プログラマー、デザイナー、いずれの学生でも、初めてゲームを作る時にまず動かして試すことができるという点、いろんなことを繰り返して試しながら作り進めていけるという点ですね。諦めずに、興味を持ち続けながらゲーム制作を進めていくことができる。あとはアセットストアにあるたくさんの素材を組み合わせていくことで、短い時間でそれなりのボリュームのゲームを作っていくことができるのもメリットです。イメージも膨らませることができますし、取り組みやすいと感じています。」

18もの専攻がある京都デザイン&テクノロジー専門学校では、学生の興味が多岐にわたっている。ゲーム制作だけにとどまらないUnityの可能性は、魅力的だという。

「当校の学生の特徴は、特定のものに偏った興味を持っている学生だけではなくて、いろんなジャンル、それこそスポーツを経験してからゲーム制作に興味を持った学生もいますし、本当にずっとゲームが好きでゲームを作りたいという形で学びにきている学生もいますし、いろんなところからゲームに興味を持って学びにきている学生がいます。ですから、Unityで作るコンテンツについてはゲームに限らないので、今後もいろんなバラエティーに富んだ作品ができることを期待しています」

現在可能性を感じているのが映像分野だ。

「映像制作、特にTimelineとCinemachineの機能を中心にした映像制作の機能では、最近のバージョンではカメラの制御などでも色々なことができるようになってきています。いわゆるリアルタイムCGで通常の映像編集のようなことができるようになってきているので、これからどんどん映像制作の方でもUnityのTimelineとCinemachine機能を使って、こんなことができるよということを教えていけたらと考えています」

カリキュラムフレームワークで制作した作品を展示

「危険宙域護送隊」開発メンバー

カリキュラムフレームワークを使い作られた2作品のUnityゲームが展示された。一つ目のゲームは「危険宙域護送隊」だ。迫りくる宇宙生命体と次々と変わる戦況を把握しながら立ち回って、困難を乗り越えるというコンセプトで作られた3Dゲームだ。制作したメンバーは一年生14人。3DCGのグラフィックにこだわり、モデリングから全て学生たちが制作したものになっている。ほとんどのメンバーが初めてUnityを触るという状況から始まり、ナビメッシュやパーティクルなど、普段の授業で取り扱わない部分に関してカリキュラムフレームワークを活用し学んでいった。その結果グラフィック的にもすぐれたゲームが完成した。

「危険宙域護送隊」

もう一つの作品が「メルティバトルスイーツ」だ。「かわいくてこどももプレイできるゲーム」をテーマとした2Dのマルチプレイバトルゲームである。

「メルティバトルスイーツ」開発メンバー

「メルティバトルスイーツ」では、開発チーム全員で利用できるバージョン管理のためのツールPlastic SCMなどを活用している。こちらのチームもUnityを初めて触るメンバーが多く、画面の操作方法やPrefabの概念を学ぶところからカリキュラムフレームワークを使い学んでいった。その結果2Dならではのデフォルメされたデザインのかわいいキャラクターたちがバトルを繰り広げるというゲームが完成した。

「メルティスイーツバトル」

学生によるカリキュラムフレームワークの活用はまだまだ進化していきそうだ。

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