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2023年5月26日と27日の二日間にかけて、石川県野々市市にある金沢工業大学 扇が丘キャンパスにて、「UAA Game Jam2023」が開催されました。「UAA Game Jam2023」(以下ゲームジャム)は、日本全国のUAA加盟校を会場とし、加盟校の学生に向けたゲームジャムを開催するツアー。2023年6月現在で、参加学校数は大学・専門学校合わせて20校超、13都道府県で行うという大規模なものとなっています。その皮切りとなったのが、金沢工業大学です。
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扇が丘キャンパス23号館のチームラーニングスペース「パフォーミングスタジオ」に、金沢工業大学様からラップトップPC、ネット回線、電源、ホワイトボードなどを用意して頂きました。ゲームジャムを開催する準備は万端です。また参加学生には、3ヶ月有効なアセット割引クーポンを支給!
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初日はUnity認定試験の講義からスタート
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当日集まったのは、なんと55名もの大勢の皆さん!講義は、Unityスキルの習熟度を証明するUnity公認資格「Unity認定資格」の紹介から始まりました。Unityの習熟度を図る公式の認定資格です。就職活動でもスキルの証明になるということで、学生も興味津々。実際にUnity認定資格保有者を募る企業の紹介なども行われました。
このプログラムの狙いは、短いゲームジャムの期間でゲームを作り、Unityのスキルを上げて認定資格にチャレンジしてみよう!ということ。ちなみに、UAA加盟校には認定資格受験のためのクレジットが付与されています。
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講師を務めるのは、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の石井勇一。今回のゲームジャムでは「サウンドとエフェクト」というテーマでオリジナルのゲームを作ります。講義では、Unityにおけるサウンドの扱い方から自分でサウンドを生成する方法、サウンドに合わせたエフェクト(パーティクルなど)の出し方など、様々なトピックがレクチャーされました。
この動画でもサウンドに合わせてグラフィックが変化するエフェクトが使われています
班分け、そして企画・制作へ
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班は、Unityで作った範囲を限定してのランダム化ツールによって行われました。1班につき5名が選ばれます。番号は、入場時に学生に配られたものです。参加者のUnityのスキルにばらつきがある場合は、班によってばらつきがないように調整することが必要です。
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班が決まったら、学生たちはそれぞれの机に分かれて早速ゲームの構想に移ります。「自分が好きなサウンドゲームは〜」などの発想から「アクションと組み合わせたサウンドゲームを作りたい」「シューティング要素を入れたい」など、様々なアイデアが展開されていました。
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初心者向けUnity講座
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グループ分け後、学生から声が上がりました。聞いてみると、ランダムでグループ分けをしたので、「Unityの経験がないので、ゲームが作れない」という班がいくつかありました。そこで初学者たちに向けて、石井先生による「Unityを初めて触る人のための講座」が開かれ、カプセルから弾を出すなど基本的なUnityの操作が教えられました。
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「Unity初学者講座」を終えた学生は、開発に復帰。完成に向けてゲームを作っていきます。中には電子楽器を持ち込んだ班もありました。
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また、マイク入力によってキャラクターを動かすゲームを作ろうとする班も。
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グラフィック、プログラムなど急ピッチで作業を進めていきます。発表まであと少し!
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それでは発表!
あっという間に時間は過ぎ、作品発表の時間に。全11チーム、それぞれの班がオリジナル作品を発表しました。その中から、上位3作品を紹介します。
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10班が制作したのは、レトロゲームをオマージュしたシューティングゲーム。右矢印左矢印でキャラクターを動かし、スペースキーで弾を出して攻撃します。構想では、敵を倒すごとに、BGMベースなどの楽器音が加えられていき、クリア時に本当の音楽を聞くことができるというコンセプトでしたが時間切れで断念。持ち込んだMIDIコンで操作し、音ゲーっぽくしたかったという構想も次回に持越しとなりました。音楽、キャラのドット絵は分担してメンバー自身が制作しています。
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こちらは4班が制作した、FPSの3Dシューティングゲーム。ランダムに出現する的を撃ってポイントを稼ぐゲーム。簡単なコースと難しいコースを選ぶことができる。イージーは草原が舞台で、ハードは宇宙空間が舞台となる。残り時間と実際のポイントなどのUIを実装。乱数を使うことでランダムな場所に出現する的は、プレイヤーの正面を向いて出る用に作ってある。さらに、どこに的があるか、3Dサウンドでわかるようにしている。
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こちらは7班によるシューティングゲーム。こだわったのは自キャラのルック。BGMとエフェクトにもっと力を入れたかったと語る。全体的に、カートゥーン的な雰囲気を目指して作ったゲームだ。
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総評
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様々なアイデアのゲームが完成したゲームジャム。以下、石井先生の総評。「今回、初めてチーム開発を行う人も多かったと思いますが、一人で開発するのとは、いかに勝手が違うのかがわかったかと思います。上手く時間管理ができなかったり、最後にそれぞれが作成したデータをまとめるのに失敗するチームもありましたね。そこでおすすめなのが、何があってももとに戻すことができるバージョン管理ツールです。これを使いこなすことで、ファイルをチーム間で共有し、マージした時に壊れるのを避けることができます。皆さん、今回の開発で、短い間で良くあるトラブルをたくさん体験出来たと思うので、よい経験(?!)になったのではないでしょうか」
学生からは、「もっと時間が欲しい、2日間くらい合宿したい」、「初めてUnityを触ったけどゲームが作れて楽しかった」などの意見のほか、「各チームの技術レベルが一定になるようにチーム分けをしてほしい」という意見もありました。
熱気の中、終了したゲームジャム。これから全国で、どのような作品が生まれていくのでしょうか?!楽しみです!