入学予定者と在校生の交流イベント「プレスクール」とは?
IT・デジタルコンテンツを専門とした専門学校「ITカレッジ沖縄」にて、イベント「プレスクール」が行われた。既に入学が決まっている高校生と、在校生が対面で交流するイベントだ。このイベントにおいて、Unity アカデミックアライアンス(UAA)の特典であるUnityの講演とハンズオンセッションが行われ、学生たちに刺激を与えた。
学生たちは集合すると、在校生と新入生が隣合わせに配置された教室に通される。新入生がわからないことがあったら、隣の在校生に質問できるという環境だ。これは在校生と新入生が知り合う機会を作り、入学後にも交流できるという学びやすい環境づくりのために行われている。
イベントでは実際に授業を担当する教員も参加。新入生からの質問などにも答える。
2021年のプレスクールは、講演とハンズオンセッションの二段構え。まずは、Unityよりクリエイター・アドボケイト(学術)、東京大学先端科学技術研究センター 客員研究員である簗瀬洋平が講演を行った。
講演のテーマは「ゲームだけじゃない!広がるUnityの世界」。ゲームエンジンとしてだけでなく、研究機関で使われたり、災害シュミレーターを作ったり、また車産業におけるUnityの活用法など、世界中から様々な事例を紹介した。
講演後には質疑応答を行った。QRコードを読み込んで、WEB上から質問できるというシステムのため学生たちも質問しやすく、実際のゲーム業界で活躍する方法など多くの質問が飛び交った。
講義後に行われたのは対戦ゲーム大会だ。新入生と在校生が対戦ゲームでバトルし、共闘することで絆を深めた。
昼食を挟み、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの荒川巧也によるハンズオンセッションが行われた。荒川は、企業向けにUnityの導入講座の実施やUnityを使ったコンテンツ開発における実装方法のコンサルティングを担当しており、学生たちにとってはプロフェッショナルから直接講義を受ける貴重な機会となった。
講義のテーマは、Unityにおけるビジュアルスクリプティング。従来のように何行もコードを書く代わりに画面上に表示されたノードを組み合わせて動きを作ることができるツールだ。Unity2021からエディタ内にビジュアルスクリプティングが統合されたため、複雑な操作がほとんど必要なく、非エンジニアでも、環境さえあればノードをつなぐだけでプログラムができる。プログラミング未体験の新入生にも入り込みやすい内容だ。
既にUnityを学んでいる在校生とともに、新入生もプログラミングに挑戦。わからないところがあれば在校生に相談し、在校生も初めてプログラミングを行う新入生に優しくアドバイスをしていた。
2.5年教育という考え方
なぜプレスクールという試みを行うことになったのだろうか?ITカレッジ沖縄にてプレスクールが行われるようになったのは2019年のことだ。
「きっかけは、『2.5年教育』を行いたいという考えからでした。本校は2年制ですので、できれば入学までに高校生たちにも学ぶ意識を予め持ってもらって、4月から一斉にスタートが切れるという体制をつくりたかった。その準備のために、プレスクールを行うことにしました」
プレスクールは好評で、AO入学の面談時にもこの取組の話をすると「ぜひ行きたい、いつから行われるのか」という反応があるという。
「特にゲームクリエイター科を志望する生徒はモチベーションが高いですね。入学すれば、高校ではできない、上の教育ができる。つまりUnityに触れる、教えてもらえるという点に興味のある生徒は自主学習を行うわけですが、自主学習ではどうしても詰まってしまうところがある。それを解消するためにも、プレスクールの要望は多いです」
なぜ、入学予定の高校生と在校生を組み合わせるのだろうか?
「学校で大切なのは、居場所づくりなんです。クラスメイトは、先輩は、先生はどんな人なのか?それが事前に分かると、すんなりと4月に敷居をまたいでくれる。プレスクールは完全に任意出席なのですが、離島の生徒たちも来てくれます。事前に学校で仮の授業を行うことで、学校の環境もわかりますし、生活するアパートなどの拠点を探すのにも役に立ちます」
入学前からこうして学びへの道を作ることで、2年間しっかりと学び、卒業後には希望する進路に進むことができる学生も多い。
「我々ができるのは、学生のモチベーションを助けることです。UAAの特典を使い、学生がUnity認定資格を取ったのですが、取得した学生たちは全員就職が決まり、結果を残すことができました。そこで改めて感じたのが、学校側が学生たちの自主学習的な部分をいかに助けられるか、学習できる環境を作れるか、志を同じくする仲間づくりを助けるか。これで学生生活が全て変わってくると思います。専門学校は職業育成校の側面がありますので、カリキュラム授業だけをやって卒業して実際の仕事では技術が満たないという現状が出てくる。そこを埋めるために、いかに学ぶ気にさせるか、モチベーションを上げるかというところに、技術そのものを教えるよりも時間を割いています」
実際にプレスクールを実施するにあたり、広報課ではどのような準備をしていたのだろうか?広報課 宮国真衣子氏はこう語る。
「学生の募集が10月1日に始まり、10月後半には新入生が決まっている状態でした。プレスクールを行ったのは、新入生からの要望が大きかったこともひとつのきっかけになりました。新入生は入学前からパソコンを触っている生徒は少なからずいますが、たいていの生徒が触ったことがない、あるいは慣れていないという生徒が多い印象です。そのためパソコン以外で、入学前にある程度の知識を身につけたいという要望が多かったんです。そこで入学前にプレスクールを行うことで、意欲を高めてもらおうということで案内しています」
そこで新入生がUnityに触れるメリットも大きい。
「Unityは無料でダウンロードできるので、新入生も入学前に勉強することができます。実際にパソコンに触れることで、タイピングの練習などもできますから。入学前のプレスクールでパソコンやUnityに触れて、なおかつ自分で調べて勉強してもらって、入学後に仲間と一緒に切磋琢磨できる環境を作りたいと思っています」
Unity認定資格で学生たちの基礎力がUPする
城間司先生は、UAAの特典を使い、Unity認定試験のプロフェッショナル・アーティストを取得し、Unity認定インストラクターとなった。本企画でも、積極的にUnityを導入した理由は?
「このイベントがきっかけで、日常生活でもUnityを意識することになると思います。これからUnityを学んでゲームが作れるようになっていくんだ、と意識していると、インターネットで触れたコンテンツでも「Unityって書いてあるから、ちょっと読んでみよう」と思ったり、自分の進路に役立つものをUnityというキーワードで探せるようになるきっかけづくりです。ゲームクリエイターを目指して入学する以上、少しずつでも自分の夢の実現に向けて少しずつ知識をためてもらいたいんです」
入学後、理想と現実の違いに打ちのめされてモチベーションを失ってしまう学生もいる。そうした学生を一人でも減らすために、ITカレッジ沖縄では様々なサポートを行っている。
「ゲームをプレイするのは好きだけど、作るまでの覚悟ができていない学生もいます。でも、プレスクールでハンズオンのセッションを経験することで、本当にゲームが作れるようになると伝えられる機会でもあるんです。実際にどういうものを作れるのかを知ることで、制作に興味を持ってもらうことからゲームクリエイターを目指してもらいたい」
ITカレッジ沖縄では、入学後2カ月は基礎的なことを学び、その後チームを組んでゲーム制作を行う。2年生になればポートフォリオを持って就職活動を行うので、学びの時間はあっという間だ。
「Unity認定試験を取った学生たちは、ゲーム業界やコンテンツ業界に就職する率が上がりました。やはり認定試験の勉強をするとUnityの理解度が違うというか、ちゃんと基礎を学ぶことができるので、実際のチーム制作でもスムーズにUnityを使えるようになって、ハイレベルな使い方が出来るようになったんです」
Unity認定試験の試験勉強をすることが基礎力アップに繋がり、作品制作や就職時にも役に立つ。ぜひUnityを学ぶ学生たちに勧めたい資格だ。