【UAA活用事例】群馬・東日本デザイン&コンピュータ専門学校 / 学生たちの創造性をUnityで引き出す

群馬県前橋市にキャンパスを構える山崎学園 東日本デザイン&コンピュータ専門学校。「すべては未来をつくる学生の夢の実現のために」を理念として掲げ、未経験で入学しても卒業時にはしっかりと技術力を身につけるカリキュラムが組まれている。なかでも「コンピュータ科 ゲームプログラマーコース」ではUnityをカリキュラムに組み込み、プロの現場で活躍できるスペシャリストを養成する取り組みを行っている。

東日本デザイン&コンピュータ専門学校校舎
目次

Unityスキルを習得してからアウトプットへ

矢沢大輔先生

ゲームプログラマーコースの矢沢大輔先生にどのようにUnity教育を行っているのかを聞いた。

「『ゲームプログラマーコース』では、一年生の前期からUnityを教えつつ、C#の言語に関しても触れていくかたちにしています。授業では、プログラム未経験の一年生からでもしっかりと学んでいける形でカリキュラムを組んでいるんです。まずはJavaやC++といったプログラミング言語を中心に、Webに関する技術やサーバー、セキュリティ、ネットワークに関することも学べるようにしています。丁寧に基礎から指導を行い、実際のプロの現場で使われている機器、設備、ソフトを学ぶことができるような環境を作っています」(矢沢)

ゲームプログラマーを目指す学生たちにも、多様な実習カリキュラムによって様々なスキルを身に着けてもらうのが狙いだ。

「『ゲームプログラマーコース』では、たしかにプログラミングに力を入れています。ただ一方でプロとしてゲーム作りをしていく上では、プログラミングだけでなく、他部署が行う仕事のこともある程度は知っておく必要があります。そこで、3DCGの方のモデリングの技術や、ゲームプランニングなど企画の部分についても教えています。プログラミングとそれ以外の授業の比率はおよそ7対3くらいの比重になりますね。また完全担任制によって、一人ひとりの学生にきめ細かい指導を行うとおもに、就職活動のバックアップも行っています」(矢沢)

本多学先生

Unityの指導を行っている、同じくコンピュータ科の本多学先生に話を聞いた。

「ゲームプログラマーコースが設立されたのは2015年で、設立と同時にUnityをカリキュラムに導入しました。Unityが登場する以前のゲーム作りというと、例えば『なんらかの画』を表示する際にはプログラミングで逐一記述せねばならず大変な苦労がありました。しかし、直感的な操作が可能なUnityの登場により、少ない手間で実現できることがどんどんと増えていきました。そういった便利な機能の数々によって捻出できた時間を、本腰を入れたかった『ゲームの核となるプログラミング』に充てられる見通しが立ったことによってゲームプログラマーコースの設立に向けて進む大きな原動力になったように思います。」(本多)

実際の授業では、まず習得してから実際にゲーム制作を行っていく。

「入学と同時にUnityを教えて、前期で一通り習得し、後期では学園祭や卒業進級展に向けてとにかく制作する時間にしています。Unityを習得した期間の後に制作する期間を取る、というように分けているんです」(本多)

インプットのあとはひたすらアウトプットするという期間になる。

「学生たちには、最初は本当に教科書通りにゲームを作ってみて、そこから発展させて自分が作りたいものをどんどん作ってもらっています。最初はつまずきながらも、熱心に制作していますね。私自身も、個人的にゲームが好きで、趣味でゲームを作っていたことからUnityを教えているという経緯がありますので、スキルの習得のためのアウトプットの重要さは身にしみてわかります。ゲームを作りたいという意欲のある学生たちをサポートできるよう、質問しやすいようにDiscordを使って、『いつでも質問してしてもいいよ』と呼びかけています」(本多)

他にも、学生がメタバースのワールドを作り、お互いのワールドを行き来するという授業もあり、学生たち自身も楽しみながらUnityを学んでいるという。

コンピュータ科には3DCGコースもあり、3DCGコースの学生もUnityを使うことが少なくない。

「3DCGコースでもゲーム業界を目指す学生はいます。試しに学生が制作した3DCG作品をUnityに持っていって、実際にその中を歩いてみるという体験を作ってみたら、学生がすごく喜んでくれました。自分の作ったキャラクターが実際に動くってすごく嬉しいですからね」(本多)

「キャラクターだけでなく、自分が作ったエフェクトを動かしてみたい!という動機でUnityを使う学生もいます」(矢沢)

また、学生のキャンパスライフの充実も目指す東日本デザイン&コンピュータ専門学校では『東京ゲームショウ』への出展を毎年行っている。3DCGやアニメーション、イラストデザインを専攻するコースと共に、ゲームプログラマーコースの学生の作品が出展されており、過去には3DCGコースとコラボレーションしたゲーム制作が行われたこともある。

「イベントでの出展では、自分たちで作ったゲームを自分たちで設置して、実際にお客さんに遊んで頂いた反応を見れるわけですが、そこで初めて気付くこともあるし、いろいろな面で学生たちが学べることがすごく多いと思います。一人で作っていると、独りよがりになってしまったり、逆に簡単すぎてつまらないというフィードバックをもらってしまったり」(矢沢)

「そういったイベントなどに出ることで、学生たちには、どんどん経験を積んでほしいんです。普段からゲームを作るサイクルを回し続けて、学生にしかできない経験をたくさんしてほしいと思っています」(本多)

学生たちに創作のきっかけを与えるゲームジャム

2023年8月に、東日本デザイン&コンピュータ専門学校で開催された「UAA Game Jam2023」。日本全国のUAA加盟校を会場とし、加盟校の学生に向けたゲームジャムを開催するツアーだ。『サウンド』をテーマに、学生たちが二日間でオリジナルのゲームを企画・制作し、完成・発表させるのがゴール。先生とUnityスタッフがプレゼンテーションまでを含めた採点を行い、優秀賞を選定する。

「学生がゲーム制作をする時に、『好きなものを作っていいよ』と言っても、あまりにも自由過ぎると逆に作れなくなってしまうんです。技術的なつまずきもあれば、心理的な部分のつまずきもあって」(本多)

「すべてが自由に作れるとなると、逆にあれができない、これもできない、となってしまって、創作の手が止まってしまうこともあります」(矢沢)

「その点、ゲームジャムで「さあゲームを作ってみよう」という環境を与えるのは最初のきっかけとしてすごく良いと思います。ジャムに参加して『2日間でゲームができるんだったら、自分でもまた作ってみよう』というモチベーションになって欲しいですね」(本多)

「ゲームジャムに参加した学生たちは、最初は戸惑っていましたが、限られた時間の中でアイデアをチームメンバーと共有し、そのアイデアを軸にして面白い案が出た時にはちょっとした歓声が飛び交っていました。そうした『チームだからこそ』の企画が生まれた瞬間の学生の目には、普段とは違う輝きが宿っていました」(矢沢)

「フロッピーペンギン」

制作されたゲームは、アクションと音ゲーをを掛け合わせた「ネジの子〜完璧で究極のネジ〜」。音ゲーとカードゲームを合わせ、流れてくるカードを音に合わせて叩くことでカードがドローできるゲーム。キャラクターのペンギンをマイク入力から声を出して操作し、障害物を超えていく横スクロールゲーム「フロッピーペンギン」など。最優秀賞に輝いたのは、「フロッピーペンギン」だ。

優秀作品選出の協議中
「フロッピーペンギン」制作チーム:丸田竜矢さん、上田楓河さん、小林美結さん、中島巧真さん

「フロッピーペンギン」の制作チームは、丸田竜矢さん、上田楓河さん、小林美結さん、中島巧真さん(2日目欠席者)。

「今回チーム制作をしてみて、すごく楽しかったです。普段は一人で黙々とゲーム開発しているので、詰まった時にも誰かに相談したり、他人と話す機会がないんです。チームだと相談しながら開発することができて、心が楽な状態で開発できたし、開発中はずっと皆と笑っていました。すごく充実したゲーム開発ができました」(まるた)

「チームメンバーと協力して一つのゲームを作るのはプレッシャーでもありました(笑)。自分の分担している部分でミスをすると、ゲームが崩れてしまうので」(丸田)

「一つのゲームに皆で取り組む機会が今までなかったので、チーム開発の経験ができたのはすごくありがたかったです。出来上がった作品が多ければ就活にも活かせるようになるので、また機会があったらぜひ参加したいです」(小林)

先生の狙い通り、ゲーム開発は楽しいと思ってもらえたようだ。普段からゲーム制作を行っているまるたさんはゲームジャムを終えてゲーム制作への想いを語ってくれた。

「Unityでゲーム開発をするのはすごく楽しいです。開発していて壁にぶつかった時、乗り越えるために試行錯誤したり、ひらめいたり、試すことがすごく楽しくて、壁を乗り越えた時も嬉しいです。そういう試行錯誤すべてが自分の経験になるし、何よりゲームが思い通りに動くようになると気持ちがいいんですよ。今はUniTaskやDOTweenを使って自分のゲームの表現の幅を広げようとしています」(丸田)

昨年から丸田さんが制作しているのは対戦型のブロック崩しゲームだそう。

「普通のブロック崩しではなくて、特殊なスキルを加えました。ボールを巨大化したり、後半になるとスピードが上がったり。ライブラリを勉強しながら作ったので時間がかかりました。今、ほぼゲームサイクルは出来ているので、微調整をしています。ゲームジャムではきちんとゴールができるところを二日間で見定めるのに苦労しましたが、自分のイメージ通りにできた」(丸田)

本多先生、矢沢先生はこのゲームジャムの総評を下記の言葉で締めくくった。

「ゲームが二日間で完成するかドキドキして見ていました。作れたのは凄いことだし、失敗しても、ゲーム作りの上で失敗もすごく大切なことなんです。なぜなら、何かをするのに失敗が一番勉強になるから。成功だけだと身につかないけど、一度乗り越えた壁は忘れないので、ぜひこれからも壁を乗り越えて次に繋げてほしいです。いい経験が出来たと思います」(本多)

「企業からよく寄せられるのは、学生にできるだけ多くチーム制作の経験を積んで欲しいということです。ゲームジャムを通じて技術面を磨くだけでなく、意思疎通することの難しさを知り、また同時に他者と協力することによる楽しさや広がりを学んでくれることを期待します」(矢沢)

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