名古屋駅からすぐの立地に、1984年に設立された学校法人河合塾学園トライデントコンピュータ専門学校。35年以上の歴史を誇り、一つの校舎の中にゲームサイエンス学科、CGスペシャリスト学科、Webデザイン学科、CAD学科、情報処理系4学科を擁するため、学科を越えた学生たちのコラボレーションも盛んに行われているという。その中でも、ゲームサイエンス学科ではオープンキャンパスにてUnityの授業を高校生たちに教えるハンズオンワークショップを開催し、ゲームクリエイターになりたいと志望する高校生たちにプロのゲーム開発で使われているUnityに触れる機会を提供しているのも特徴だ。
オープンキャンパスでゲーム作りの楽しさを知ってもらう
オープンキャンパスでUnityの授業を行っている、ゲームサイエンス学科の伊藤孝之先生に話を聞いた。「オープンキャンパスで来てくれる方たちは、ゲーム業界への就職に興味がある場合がほとんどです。本校のゲームサイエンス学科では、最終的にプログラマーとして就職を目指すというところがゴールになるので、まずはプログラムに触れてもらうところから始めています」。受講する生徒のレベルに合わせて、難易度も変えている。「講座にはいくつかの難易度があります。今回の講座に関しては初心者向けの簡単なものです」。CreateでPlaneを作り、球体にコンポーネントを追加して的に向かって撃つミニゲームだ。「Unityの基礎の部分を体験してもらって、1時間のワークショップで動くゲームを作ることができて、実際に遊べるというところまでが体験になります」。完成後は、先生が作った最終形を見せ、「今皆さんが作ったものに手を加えればこんなにすごいゲームになるんだよ」という驚きと喜びを伝えている。「ゲームを作るのは楽しい、と思ってもらいたい。ゲーム作りに興味を持ってもらうための講座をいつも心がけています」。また、オープンキャンパスでゲーム制作を行うのは、入学してから「プログラムは自分にはできない」とギャップが起こることを避ける効果もあるという。
ゲーム開発を「楽しい」と思ってもらうために
ゲームサイエンス学科では、いわゆる「ゼネラリスト」の育成を目指している。「実際のゲーム業界においては、具体的にどんな仕事に割り振られるかわからないんです。求人ではゲームプログラマーと書かれていても、実際の業務ではゲームのキャラクターの動きやエフェクトを作ったり、サウンド周りの実装をしたり、あらゆることを求められます」。それは伊藤先生自身も、ゲーム業界で実際に経験したことだ。「自分もゲームサイエンス学科の卒業生で、プログラマーとして就職しました。それでも、数年後には社内転職でプランナーに転向したんです。その際に感じたのは、プログラムが分かっているプランナーというのは業界全体でも多くない、ということ。。だからこそ、学生にはまずきっちりとプログラムを学んでから就職してほしいんです」。学生が社会に出た時に即戦力として働くことができることを重視しているのだ。
Unityをカリキュラムに取り入れるメリットは、「ゲームを作りたいという意欲を引き出す」ことだ。「一年生には、C言語のプログラムを教えています。そうすると、なかなか目に見える成果が出ないので心が折れる学生も多いんです」。Unityを導入した理由の一つだ。「Unityだと、例えば箱を出したいとなったらCreateすればすぐにできます。ただし、そこから応用的な部分をやりたいとなってくると、いわゆるsin、cosなどの数学的知識でつまずくんですが(笑)。それでもUnityでVR作品を制作する学生も多く、ポジティブなつまずき方ができているので、ゲームを作りたいという意欲は引き出せているのかなと思います」。
ゲームジャムでチーム制作の難しさを知る
ゲームサイエンス学科の松井宏平先生曰く、トライデントコンピュータ専門学校のカリキュラムにUnityが導入されたのは9年前。「現在のゲームサイエンス学科のカリキュラムでは、まず1年生の前期にC++とDXライブラリでゲームの基礎の部分がどのように作られているかを学びます。後期ではさらに発展させて、Unityなどのゲームエンジンを学んでいきます」。学生たちは、夏休みのタイミングでオリジナルのゲーム制作にチャレンジする。「自分でオリジナルのゲームを作ってみて、そこでやりたかったけどできなかったことをUnityで実現させる学生もいます。影やライトなど、自分でプログラミングするのが難しいという壁に当たっているタイミングでUnityに触れると、「モデルがドラッグアンドドロップで描画できる」、「アセットストアにユニティちゃんというかわいいモデルがいる」というように、すごく学生のテンションが上がるんです。やっぱり最初にプログラム基礎を学んで作って、自分が出来ること・出来ないことを痛感した上でUnityを使うと、学生の感動が大きいんです。「こんなに簡単にできるのか」ということで、よく学生がはしゃいでおります(笑)」。
授業の他にも校内でゲーム制作サークルやゲームジャムを行う際にUnityが使われている。「サークルに入部してから2週間程度Unityの基礎の部分を教えます。学生はあっという間にゲームをちゃんと作れるようになって、自分の予想以上に完成度が高いものが出来ている、と驚いています。元々Unity自体が触りやすいというのもありますし、インターネットなどでの無料の教材情報も多いので、自分で調べて制作を進めてしまうことができるのが強みですね。描画も速く、マルチプラットフォームが簡単に出来る点も良いです」。ゲームジャムを行う際に、意識しているのが「学生たちに実際にチーム制作を経験させ、その難しさを知ってもらうこと」だという。就職した際に即戦力となる人材を育成したいという思いからだ。「Unityなどのゲームエンジンを使うことで、学生たちは作品のクオリティを上げることができます。。そうして作られたクオリティの高い作品で日本ゲーム大賞などのコンペティションに積極的に応募しています」。また、企業からも、Unityを使える人材が求められていることもあり、Unityを用いて作られたクオリティの高い作品を就職活動のポートフォリオに組み込むことで、ゲーム業界に就職する夢を叶える学生も多いという。
プロのゲームクリエイターになる夢をトライデントで叶えたい
トライデントで学んでいる二人の学生、ゲームサイエンス学科2年の森川星衣さんと加藤哲慎さんにお話を聞いた。トライデントを選んだ理由は、オープンキャンパスで実際に校風を知ったことがきっかけだという。「オープンキャンパスで、この学校の校風がとても私に合っていると思ったんです。先生と生徒の距離がすごく近くて、わからないことがあったら何でも質問できそうな雰囲気がすごく漂っていたので決めました」(森川)。「いろんな人から話を聞いてみると、先生がみんな優しいよ、と言う方が多かったんです。ということで、まずはオープンキャンパスに参加して、学校の雰囲気を確かめたうえでトライデントに決めました」(加藤)。実際に入学した感想は?「すごく良かったです。先生方が本当に学生の質問に真摯に答えてくれるんですよ。学生のために授業後も先生が自習室にいてくれるので、ここがわからないから教えて下さい!と質問攻めにしています(笑)」(森川)。他にも、同じ志を共にする仲間が出来るのも良い点だったという。「自分と同じく、ゲーム会社への就職を目指す友達が多くて、意見が合ってワイワイ話せるのが楽しいです。そこは専門学校ならではだなと思います」(加藤)。学生と教員、そして学生同士の距離が近く、和気あいあいとした雰囲気が流れている。
二人の夢は、ゲームクリエイターとしてプロになることだ。「私は、モバイルゲームのプログラマーになりたいんです。だからUnityはずっと触りたくて。実際にやってみたら、自分でプログラムを書かなくてはならない当たり判定などをUnityがやってくれるので、リソースをクオリティを上げることなど他の部分に使えるのがありがたかったです」(森川)。「Unityは、自分の目で見て分かりやすくプログラムを書けるので、とても助かっています」(加藤)。二人の夢が叶う日を楽しみにしている。