新潟市の歴史ある繁華街・古町にキャンパスを置くNCC新潟コンピュータ専門学校。ここはゲームクリエーター科、CG・Webクリエーター科、情報システム科などを擁し、近年はeスポーツのプロゲーマーや開発者を養成するeスポーツ科も設置。
カリキュラムのテーマは実践的なチーム制作
ゲームクリエーター科はゲームプログラムとグラフィック系の大きく2つのコースに分かれ、実践的なチーム制作を行っている。地元だけでなく首都圏や関西圏の有名スタジオにも多数の就職実績を誇る、ゲーム業界では名高い専門学校だ。
ここNCCは、2017年10月にUnityトレーニングパートナーに認定された。また生徒にもUnity 認定試験を受ける機会がある。試験結果は履歴書に書くこともできる。就職活動の際に、「自分の自信になった」というフィードバックがあったという。
ゲームクリエーター科学科長の川原健先生は、Unityを授業に導入した経緯をこう語る。
「以前は生徒がDirectX等でゲームを作っていたので、開発のハードルがすごく高かったんです。絵を出すだけで、2ヶ月かかる学生もいました。そこで『自分にはゲームは作れない』と挫折してしまうんです。それがUnityでは、ドラッグしてスクリプトを書けば画面の中のものが動く。まずはUnityを触ってから、深いところにチャレンジしていく。学生に『動くものが作れる』という成功体験を与えることで、より高いハードルにチャレンジするモチベーションが生まれるんです」
NCCでは、生徒たちにノートパソコンを購入することを推奨している。授業は中レベルの生徒にターゲットしているため、レベルの高い生徒は退屈になり、そうでない生徒は内容についていけなくなってしまうということも起こる。そこで授業時間以外でモチベーションのある生徒にはさらなる指導を、行き詰まる生徒にはサポートを行うことであらゆるレベルの生徒に満足のいく指導を行うという考えだ。
「人に見せる」意識を持つこと
川原先生自身もNCCの卒業生。NCCではおよそ7割の職員が卒業生だ。実際にNCCで教育を受けてきた人員が職員になることで、生徒たちの悩みに親身に寄り添うことができる。
川原先生が語るのは、時代に伴う生徒のモチベーションの変化だ。以前はゲームやアニメなどのコンテンツに触れることが金銭面などでのハードルが高かったが、現代では無料のゲームやアニメなどの大量のコンテンツに生徒たちが囲まれている。
「そうすると、自ら作ろうというモチベーションが下ってしまうんです。『ないから作ろう』という感覚が薄れてくる。どうしても『遊びは提供されるもの』という意識になってしまう。クリエイターとして重要なのは、“自分が作ったものを人に見てもらう”という意識を持つこと。趣味で自己満足のコンテンツを作るのは簡単ですが、他人が楽しめるものを作るのは難しい。“人に見られるのは恥ずかしい”という意識を変えるのが、クリエイターを育てるために一番重要なことです」
生徒たちでチーム編成してゲーム制作
NCCは毎年生徒たちが年間2回作品制作を行っている。一番目は「日本ゲーム大賞 アマチュア部門」へのエントリー。「東京ゲームショウ」で表彰が行なわれる大規模な大会だ。 NCCでは一年生でゲーム制作を学び、二年生と三年生はチームを編成してゲーム制作を行う。
多くの生徒たちは四人から六人のチームで制作するが、一人で開発を行う生徒も。チームではグラフィック担当とプログラム担当に分かれて開発を行うが、グラフィックとプログラムのぶつかりあいが起こり、実際のゲーム制作におけるジレンマを生徒が体験することになる。
二番目は就職活動に向けたポートフォリオのための作品制作だ。ハイペースな制作により、生徒たちはより実践的な開発力を磨くことができるのである。