トロコイド(阿部 悠希さん)インタビュー
──受賞おめでとうございます。Unity歴は9ヶ月ということですが、阿部さんはその前からプログラムをやっていたんですか?
阿部:プログラムはやっていませんでした。「東方弾幕風」という、弾幕を作る専用の言語を少しいじっていたことはあるんですけど。本格的にプログラミングを始めたのは、Unityを始めた今年の3月ぐらいですね。そこからUnityのWebサイトにあるチュートリアルで勉強しました。本もあんまり買っていないんです。自分で作りたいものが作れるようになったのは4月くらいからです。
──作品の制作期間は?
阿部:『Mathmare』を作り始めたのは、インターハイ出場を決めた6月からで、制作期間は実質2ヶ月と、一次審査が終わったあとのブラッシュアップで、全部で4ヶ月ぐらいです。フリー素材の音楽以外は、全部自分で作っています。
──プレゼンテーションで、「アステロイド曲線やバラ曲線を見たときにたった一つや二つの数式でこれが表現できることに感動した。数式の美しさは言葉で伝えても伝わらない。だから弾幕ゲームを作った」とおっしゃってましたよね。それは授業で習ったんですか?
阿部:はい、媒介変数表示という言葉は数Ⅱのベクトルの授業で習ったんです。それで、テスト勉強をしていたときに、媒介変数表示のことを検索したんです。それで、バラ曲線とか、アステロイド曲線の美しい図を見て。「これを弾幕にしたらすごく面白そう」という気持ちと、「すごいという気持ち」を他の人にも伝えたくて、『mathmare』を作ったんです。
──言葉だと伝わらないって、ちゃんとわかっているのがすごいですよね。だからゲームにしようっていう、そこの飛躍が本当にすごいなと思いました。
阿部:「すごいものを見つけた!」と思って、友達にも言ったんですけど反応が薄くて。そんなこと言っても、「ただの数学好きな変な奴」としか思われませんよね(笑)。たとえSNSでつぶやいても、フォロワーがそんなにいるわけでもないので、せいぜい2桁の人の目に留まって終わり、イイねがつくのは5個ぐらい、そんなものかなと思ったので。
──『mathmare』は既にリリースされていたandroid版に続き、iOSでもリリースされましたね。アップデートなどはされるんですか?
阿部:今、25ステージでリリースしているんですけど、「ステージが足りない」って言われていて(笑)。ネタ切れです(笑)。クロソイド曲線とか作ってみたいなとは思ったんですけど、技術的にちょっと厳しいなって。
──今後どんな作品を作っていきたいですか?
阿部:「クロソイド曲線」って、ギリシャ神話の女神クローソにちなんでいる曲線があって。それに絡めた弾幕シューティングを作ろうと思っているんです。もともと、芸術を鑑賞するのは大好きで。現代アートも大好きなんです。オーケストラの音楽とかも好きですし。他には、シューベルトの「魔王」からインスピレーションを得たので、次はそのゲームも作りたくて。それは弾幕じゃないです(笑)。芸術も音楽も大好きだし、いろいろなインスピレーションを受けているので、今は作りたい世界観が、両手じゃ足りないくらい溢れています。
──ありがとうございました!
『mathmare』タイトル概要
「数学の夢魔」が見せる悪夢の中で、多量の弾を避ける弾幕避けゲーム。テーマは「数学」。全ての弾幕に数学的要素があり、弾幕を生成する式の係数をプレイヤーが任意に指定し、それに依って弾幕が変化するというステージも。数式が生み出す美しい図形を、弾幕と共に楽しんでほしい。
チーム:トロコイド(阿部 悠希)
2019年度 Unityインターハイ 準優勝作品