DONG(川瀬 隼さん)インタビュー
──準優勝、おめでとうございます!『MAGNET NINJA』は以前も好成績を残していて、それが完璧になって戻ってきたという感じでしたね。それでは受賞の率直な感想をお聞かせください。
川瀬:とても嬉しいです。
──審査でも『MAGNET NINJA』には一切欠点がないというふうに言われていました。もう何も文句を言うところがない。そこまで完成度を上げられた秘訣は?
川瀬:マグネットという仕掛けをずっと追求しているからかもしれません。リスポーンが速いとか、矢印が書いてあるとか、前回の『MAGNET NINJA』で「やりにくい」とコメント頂いたところを徹底的に直しました。ユーザーに寄り添う設計はかなり意識しています。
──アニメーションもすごい細やかだし、操作性も良いですよね。操作感がもう全然、普通に売っているゲームと全く変わらなくて。
川瀬:そうなんですか?僕はあんまり普通のゲームをやらないのでよくわからないんですが。
──ゲームをやらないんですか?!
川瀬:別にゲームが嫌いではないんですが、プレイするのが苦手なんですよ。小学校のときはゲーム禁止でしたし。でも親が「作るのはいいよ、パソコンを使えるようになるのはいいことだから」と言われて。でも一応遊ぶのも好きでレースゲーム、格闘ゲーム、アクションゲームなど動き自体が面白いゲームはやっています。
──短いスパンでどんどん局面が変わるというか、進むゲームが好きな感じですかね。『MAGNET NINJA』はファミコン時代のアクションゲームを思い起こさせますが、ファミコン時代のゲームは絶対にあんなにきびきび動かないんですよ。だからやっぱり、ちゃんとすごい現代のゲームになっていますね。
川瀬:ありがとうございます。レトロゲームは持ってなかったんですけど、ドット絵を描き始めたのは、パソコンとかで絵を描くと線がブレちゃうんです。だからドットで描いていたんです。それの延長で、普通の背景のドット絵とかを描くのが結構得意というか好きなんですよ。ドット絵でMVを描かせていただいたこともあります。それのおかげで結構ドット絵はうまく表現できたのかなと。
──忍者自体も少ない色数で動きがきれいに表現されていて、すごくいいですよね。ドット絵は描けばできるというものではないので、すごく得意なんだと思いました。
川瀬:忍者は結構大変でしたね。描き始めたのは早かったんですけど、できるようになるまでは結構時間がかかったというか。他のいろいろな絵を描いてみることで、忍者のような表現ができるようになったかなと思っています。
──『MAGNET NINJA』はどうやって作っていったんですか?
川瀬:まず磁石の動きを作ってからステージを作っていきました。最初に磁石があって、ブロックや登り棒を追加して…という感じです。参考にしたのは2Dのドット絵のアクションゲームですね。「これと、今、自分が作っているやつの違いって何だろう」って考えて、チェックポイントに行ったときとか、アクションごとに物が動いていたり、書き込みがすごかったり、動いているものが多いなということに気づいて直していきました。
──壁に吸着したり着地する時って何かモーションが違ったりはしています?あの動きがすごく気持ちよくて。
川瀬:いや、着地自体にモーションはないんです。着地は単に乗っかるだけなんですけど、吸着はちょっと早く吸いつく感じになるんです。
──つまりある程度の距離になったらそこに立っていることにすると。
川瀬:そういうことです。着地ではそれがないので、だから多分違うかと。
──友達などにプレイしてもらって感想をフィードバックする、というようなことはしましたか?
川瀬:函館にある「はこだてみらい館」で展示をして、幼稚園から小学生、中学生ぐらいの子に遊んでもらいました。特に意見を言ってもらったわけじゃないんですけど、プレイしているところを見て「ここで引っかかるのか」というところはフィードバックしましたね。幼稚園児や小学生の思考って単純なんです。経験則を生かさずに見たまんま単純な理解をするので。単純な理解に即してない動きがあったら、やっぱりわからなくなるんですよ。そことかを見て、ここは駄目なんだろうなと思って直したり、ということはしました。
──こどもがテスターというのは最強ですね。それで、あんなにストレスがないゲームが出来上がるというわけですね。次はどういうゲームを作りたいですか?
川瀬:全く違うジャンルのゲームを作りたいと思っています。
──最後に、川瀬さんにとってUnityインターハイとは何ですか?
川瀬:ゲーム作りもそうですが、絵を描き始めたり、それの全部のきっかけがUnityインターハイなんです。ゲームを作ってブラッシュアップするとか、Unityインターハイという明確な目標が生まれて優勝したい!という目標が生まれたし。それにUnityインターハイをやっていて横のつながりができました。同世代でゲームを作っている奴っているんだなと。周りには全然いないんですよ。しかもハイレベルな人とつながれて、そういう人にプログラミングを教えてもらったり。もしくは他愛もない話をしたりするのも楽しくて。いろいろなきっかけになったというか。多分、Unityインターハイがなかったらこんなゲームは作れていないし、絵も描けていないと思います。
──ぜひ来年も出場してください!ありがとうございました!
『MAGNET NINJA』タイトル概要
主人公の忍者が、磁力の力を使ってゴールを目指すアクションゲーム。磁石同士の引き合う力・離れる力を操りゴールを目指せ!開発者自身によるドット絵で表現されたサイバーパンク風の世界観にも注目。
チーム:DONG(川瀬 隼)
2020年度 Unityインターハイ 準優勝作品