teamST(田中 友貴さん、村田 サスケさん、長崎 瑠海奈さん)インタビュー
──まずは今回、賞を取れた感想を1人ずついただきたいと思います。長崎さん(主にイラストとサウンドを担当)からお願いします。
長崎:うーん、いや、もううれしいの一言ですね。賞をもらえたらいいな、ぐらいだったので、本当に。私は音楽とイラスト担当だったので、(評価されるのは)プログラミングとかモデリングとか中心になるのかなって思って、なんか、でも(表彰式では)私の技術も認められて、技能賞っていうことなので、本当にもううれしいの一言です!
──ありがとうございます。次は田中さん(主に電子工作とプログラミングを担当)。
田中:はい。このチームの中でははっきり作業が分業されていて、イラストや音楽(長崎さん担当)、モデリング(村田さん担当)、あと電子工作とプログラミング(田中さん担当)というふうな感じだったんですけど、それぞれのできることとか特技を生かして、それを一つの作品にしたときに、うまいこと作品に仕上げられたんじゃないかな、みたいなことを思います。
──最後に、村田さん(主に3Dモデリングを担当)。
村田:僕は、将来の夢はゲームクリエイターじゃなくて映画監督なんですけど、こういうふうに集団でものを作るっていうことを経験してすごいためになったし……(最終的に)作ったモデルを6個捨てたんですけど。結構すごい決断力が必要で、そのときはこれで悪い方向に行ったらどうしようとか、あったほうが良かったねとか言われたらどうしようって悩んだんですけど、それが結果につながったんだろうなと思うと、本当に、ネタでなく、「お盆」にこだわり続けて良かったなと思います。
──ありがとうございます。改めてチーム内での役割分担をお聞かせいただけますでしょうか。
長崎:私はサウンド、音楽と、イラストやキャラクターデザインを担当させていただきました。
田中:僕は基本的にUnity(で開発するところ)を全部。あと、ロデオボーイ(乗馬マシン)を改造して、マイコンを使って制御できるようにしました。
村田:僕はオープニングとエンディングの映像とCGモデル、アニメーションと、あとはゲームの方向性をある程度、舵をとりました。
──このゲームを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか。
田中:Unityインターハイに出たいねっていう話を1年ぐらい前からしてたんです。で、プレエントリーが始まって、テーマが夏だよって言われてからずっと話し合ってて、何となく僕がナスとキュウリって夏っぽいよね、みたいな話をして。
走ったら面白いかもっていうことは言ったんですけど、どういう設定があって何で走るのかとか、どういうふうにしたら面白いっていうのは全部村田が考えてくれて。その中で、やっぱりオリジナルで作っていくとしたら音楽ももっと合うのが欲しいとか、絵も描きたいということで(長崎さんを)誘って、チームとしてやってきた……みたいな感じです。
──なるほど。最初は田中さんと村田さんとで作って、長崎さんは途中でスカウトされたということですね。
長崎:スカウトされました(笑)
村田:(2人で作っていて)もう1人チームに誰かを入れられるってなったときに、モデラーかプログラマーかどっちにしようかってすごい話し合ったんですけど、結局、どっちも(田中さんと村田さん2人で)完結してるんじゃないかなとなって。じゃあ全然関係ないところかなと思って。音楽と絵ってやっぱり必要だから、それができる後輩がいるなっていうことで誘ってみたという感じです。
──誘われたときはどんな感じでしたか。
長崎:いやー、参加するんだ。はーい、みたいな。
村田:正直、面倒くさかったでしょ、最初。
長崎:なんかちょっと、よく分からなかった。突然誘われて、何だろうっていう感じで……。
田中:そうだよな(笑)
村田:学年も違うし。圧倒的、ここ(2人)との。
田中:そう。ここの関わりがもともとなかった。
長崎:ないんです。本当に。
田中:で、ここ(田中さんと村田さん)の関わりしかなくて。
長崎:そうそう。
──もともと田中さんと村田さんが同級生なんでしょうか。
田中:そうですね。
長崎:そうそう。
──田中さんと長崎さんの関係は。
田中:部活の先輩、後輩なんです。
村田:でもUnityの話なんて何も、そんなんしてないし。
田中:全然なかったよな。
長崎:全然ないですね。
村田:ここ(田中さんと村田さん)はもうずっと一緒にやろうやろうって言ってて。急にぽんって(長崎さんに)やろうっていって、いいですよ、みたいな感じです。
長崎:何かやるんだ。力になれるならまあ、みたいな感じで。最初はそんな軽い感じだったんです。
村田:いっぱいあるよな。
田中:全部大変だったよな。
長崎:もう初めてのことばっかりだったんで。
村田:それですね。やっぱ、圧倒的に経験が足りなくて、一個一個のことでつまずいて、調べて、どうのっていうのを毎度毎度やっていくというのが結構ストレスというか。例えば僕は、アニメーションって付けたことはあったけど、そんなに本格的にやってなくて。まずナスのアニメーションを作って、それから学んだことでキュウリのアニメーション作ったら、ああ、これがアニメーションの付け方の正解だってなって、それをナスに付けなおしたらもっと良くなって、またキュウリのアニメーションを作り直すっていう。
田中:いいもののために。
村田:毎度毎度、何か、間違ってたんだっていうのがあって、ずっと前に進まないというか、ゆっくり進んで行くという感じでした。
田中:プログラミングなんですけど、ユーザーインターフェース、UIと言われているユーザーが見る画面の文字出すとか、ボタンでクリックするとか、今まで全然やったことなくて。自分の中でこんなゲーム作りたいっていうものがあって、自分の中で分かってるからいいやと思ってUIから逃げてたんですけど……。人前に出すってなったときに、ゲームの中のUIってめちゃくちゃ大事なんだなって気づいて。本を買っていちから勉強してっていうのが僕の中では一番大変でした。
長崎:私は、難しかったところは今まで自分のやりたい、自分の作りたい作品しか作ってきていなかったので、仕事で「こういうのをお願い」っていうのは、あんまりやったことなかったんです。それで作品の雰囲気に合うようにっていうのを考えたりして、いろいろそこで試行錯誤しました。イラストはキャラクターデザインの古い感じとか、楽曲だったら和風を入れるとか。ただの雅楽じゃつまらないので、オーケストラとかジャズに和風を入れるっていう、そういうところが難しかったです。
──いちばん楽しかった瞬間はどんな時でしょうか。
長崎:やっぱり、(賞を)取れた。
田中:今さっきだよな。
村田:うん。
長崎:この賞を頂いたときが一番。
村田:でも、絶対それじゃないと思う。答えるべき回答じゃないと思う(笑)。それ以外では、モデルを夜ずっと作って、完成してそれをレンダリングしたときが最高ですね。ああ、ナスだ。うわ、ナスだっていう。
長崎:分かります。それは私も同じです。
村田:急にナスになるんで。それまでCGだったものがボタン押した瞬間にパッてナスになるんで。それ、すごく感動します。
田中:僕は、村田くんが出してくれたモデルをゲームの中に組み込んでゲームとして動かしたときが、ああ、ゲーム作ってるって……何か変な感じですけど、実感できて面白かったです。
──長崎さんいかがですか。
長崎:大体同じで、頼まれた絵とか曲が、こんな感じでいいかなって完成したときが一番、ああ、やりきった、みたいな達成感ありますね。あと、それを田中先輩がゲームに入れてくれて、こんな感じでできたよってファイルを何度か渡されたんですけど。自分で作った音楽が流れてる、自分で描いた絵がちゃんとキャラクター選択画面で選択できる、うおー、みたいな感じの。そこもうれしいっていうか。
田中:喜んでたもんな。
長崎:うん。楽しいです。
──例えば、作ったものがお互いに思ったものと違うときなどはあったりしましたか。
田中:あります、あります。
村田:すごいよくケンカになる。
田中:もうしょっちゅうケンカしてます。
村田:でも逆に、そこ、絶対に譲らないんで。お互い。
田中:ちゃんと話し合って。納得いくまで。本当に何日徹夜したか。
村田:ここ(田中さんと村田さん)の間のやり取りで消えたモデルとかプログラムがもう山積みに……。
田中:締め切り前に作品を提出したときは加速するアイテムがスイカだったんですけど、加速するアイテムをスイカにするか別のものにするか、それだけで3時間ぐらい話し合ってました。細かいところまでこだわって、お互いいいものを作りたいっていう気持ちが同じなので、本当に妥協じゃなく、お互いの納得いくところまで話し合って。
村田:3人だからこそできる。これ、多分、会社ではできないと思うんですけど。
──今後、3人で何か作りたいものはありますか?
長崎:何か、できたらやってみたいですよね。でも、ここ(長崎さんと田中さん、村田さん)はもう学年が違うんで。
田中:そうね。もういなくなっちゃうからね。
長崎:ちょっと悲しい。機会が減っちゃうから。
村田:本当に悲しいか(笑)
田中:ホントに。頼むよ。
長崎:ちょっと悲しい。
村田:ちょっと!?(笑)
長崎:でも、遊びに来てくださいよって感じ。
村田:でも、頼むよ。
田中:絶対頼むよ。曲とかイラスト、頼む。
長崎:頼まれそう(笑)
村田:でも、大会とか出るの好きなので、誘われたら結局やるんだろうなって。
田中:よく分かってるな。
長崎:先輩のプレゼンの技能とか、他のところもいろいろ勉強になること、多いので。
田中:そうそう。意見聞けるのがいいよね。
長崎:一緒にやってて学ぶこととかも。機会があれば、本当に。
田中:もうご先祖さまがフェードインしてくるの、絶対入れたい。
──今回のインターハイを通して、次にこういうの作りたいなっていうものはありますか。
村田:いっぱいあるよね。
田中:いっぱいあるよな。
村田:でも、うちではできないなって。
田中:それな。
村田:それだよね。
田中:僕がめちゃくちゃ周り気にするんです。周りの人こうだから、こうしたほうがいいかなとか。あの人たちこうしてるけど、俺ら大丈夫かなっていうのをいっつもサスケに言って、周り気にするなよって切れられるっていう流れが、もうテンプレのようにある。変な言い方ですけど、僕がちょっと間違った方向とかコンセプトとして外れちゃうような意見を提案したときに、容赦なくその意見をたたきつぶしてくれるんですよ。ゲームを作るという点では、本当にいいチームだったかなって思います。
──最後に、盆走りをプレイしてくれた人、今後プレイしてくれる人にメッセージを一言ずつお願いします。
長崎:何かあるかな、言いたいこと。
田中:じゃあ、俺言っていい?
長崎:いいですよ。
田中:俺のパートじゃないけど、全然言っていい?
長崎:いいですよ(笑)
田中:何回かクリアしているとエンディング見られるので、絶対エンディング見てほしいです。以上です。
村田:とにかく、お盆を祝ってほしいですよね。
長崎:その一心でした。
田中:そうだよな。
──お盆に対する熱い思いは誰がお持ちだったんですか?
村田:そうですね……何かもったいないなと思って。せっかくお盆ってあるのに、お祝いしないのも。
長崎:「盆走り」してお盆に興味持ってもらえたらうれしい。
村田:そうね。
田中:来年のお盆にもう一回このUnityインターハイのWebサイト見てプレイしてほしいな。
長崎:あー、お盆になるたびに。
田中:そう。お盆になるたびにちょっと思い出してほしいな。
村田:毎年さ、お盆っぽい人、出て来そうじゃない。あれ、でもテーマは毎年「夏」じゃないか。
田中:毎年夏じゃないよ。
村田:そうか、そうだよな(笑)
──ありがとうございました!
『盆走り』タイトル概要
ナスの精霊馬を操作し、お茶の間コースを舞台にキュウリの精霊馬とスピードを競うレースゲーム。選んだご先祖様のキャラクターによって加速スキルが異なるほか、コース中のスイカを取るとスピードがアップする。壁に当たるとスピードが大きく落ちるのでうまくコントロールしよう。
チーム:teamST(田中 友貴さん、村田 サスケさん、長崎 瑠海奈さん)
2016年度 Unityインターハイ 技能賞作品