OMNISCIENCE(西村 太雅さん)インタビュー
──あらためまして優勝おめでとうございます。
西村:ありがとうございます。
──今のお気持ちをお聞かせください。
西村:そうですね。本当にまだ信じられないというか、本当に3ヶ月間、ずっとやってきたその努力が報われたのかなーと思う……。(優勝は)誰なんだろうとか思ってたら思わず、まじかって。
──やった、じゃなくてですか。
西村:やったじゃなくて驚きのほうで。あんまりなんか……喜んでなかった。もうびっくりしちゃって。だんだんその喜びっていうのが大きくなってきて。やっと実感してきたみたいな感じですね。
──今回の作品を作ったきっかけはなんでしたか。
西村:そうですね。作るゲームがなくて、何を作ろうか悩んでたときに、友達にどんなゲーム作ってほしいって聞いたら、ホラーゲームっていうことでホラーゲームの作成を始めました。Unityインターハイのテーマが夏だったので、夏にこのホラーっていうことで行けるんじゃないかと思って。で、大会に向けて本格的に(開発を)開始しました。
──ゲーム作りを始めたのはいつですか。
西村:中学2年生の秋ぐらいですね。最初はAndroidベースでアプリ開発をしていました。中学2年の夏休みが始まったぐらいにLife is Tech!のキャンプに参加して、Javaとかのプログラミングをしてたんですけど。どうしてもアプリだとネタがなくなっちゃうんで、ゲームをつくろうと思ったんですけど。Android Studioとかでゲームを作るのは限界を感じて、ゲームエンジン使おうと思って、いいなと思ったゲームエンジンがUnityで。どこがいいかというと、1回作ったらiOSとかAndroidとかPCとか、どんなプラットフォームでも動かせるっていうところですね。で、取りあえず1冊(Unityの)本を買ってみたはいいんですけど。その本はプログラミング、ゲームの作り方、考え方やUnityエディタの使い方が載ってたんですけど、C#のプログラミングについてはなんも書かれてなかったんですよ。
──なるほど。
西村:だから、とりあえず最初は見よう見まねで写して、動かしてみて、を繰り返すんですけど、やっぱり(プレイヤーの)体力とかジャンプの高さとか、いろいろ変えたいなと思って。どこを変えたらどうなるんだろうとか、そういうことを何回も繰り返していくうちに自然と書けるようになっていったという感じです。そういう方法で習得していったので、自分の好きなことができるようになるまでには1年ぐらいかかりました。
──今回一番苦労したところは、どこですか。
西村:今回苦労したところは、ステージがどうしても大きいので。個人開発でステージを大きくしようとすると、この部屋は面白いのにこの部屋はつまらないとか、エリアごとに面白さのばらつきが出たりとか。最初だけ気合入れてて後半はつまらないとかそういうことがあるので、気を緩めずに、最初から最後まで手を抜かずに作っていくところでしたかね……。あとは、ずっと椅子に座っていたので腰が痛くなっちゃたりとか(笑)
──どれぐらい開発していたんですか。
西村:1日に7時間ぐらいやってました。
──それは夏休みに入ってから?
西村:はい。もっとやってたかな。すごいときは12時間やってたんですよ。
──どういう生活だったんでしょうか。
西村:朝起きてパソコン、で、朝メシ食ってパソコンで。あと昼メシ食ってパソコン。風呂と、パソコンで終わりです。
──ご両親は何か言っていましたか。
西村:親はもう、呆れてましたね。勉強しなさいとか、本当に賞取れるんかな、みたいな。そういうことを言われてました。
──今日、西村さんが優勝して何か言っていましたか。
西村:えっ(笑)「大したもんだ」って。いきなり言うこと、コロッと変わる……。
──そうなんですね。優勝ですから、おめでとうございます(笑)
西村:そうですね。すごいうれしいです。やっぱりこういう発表の場とかがなくて。まあ、本当にこういう場で……自分に自信がなかったんですけど、(今回の優勝で)ちょっと自信になったというか。ゲームとか作ったことがある人たちが本当に認めてくれるとか。一番うれしかったのは、やっぱりゲームを作っている人たちだからこそ、分かってくれた部分があると思うんですよ。だから普通の人が気付かないようなところとか。例えばUI(ユーザーインターフェース)の表示で、何か操作するときに画面の右下に操作方法を書いておいたりとか、普通の人は自然に使っているんですけど。普通はあったかなかったか気付かないようなところに気付いてくれてたのはうれしかったです。
──なるほど。
西村:あと、審査員の方々にちょっと受けたらいいなと思って、LINQとか最適化とか。他の人がやってなさそうなことをプレゼンの後ろのほうで出してみたりとか。そういう戦略的な工夫もちょくちょくしてました。
──ゲーム開発で一番楽しかったこと、一番手応えがあったことはなんですか。
西村:そうですね……普段開発していてあんまり手応えを感じなくて……。ステージがとても大きいので。ちょっと作ってもあんまり変わらないんですよね。例えば部屋にパスワードが置いてあったら、プレイヤーはパスワードを見つけたら出ていっちゃいますから。だからひどい場合には5秒ぐらいでその部屋の役目は終わっちゃったりするので。3カ月作ったゲームでも、うまい人だと1時間ぐらいで終わっちゃうっていうのが、ちょっと厳しいというか……市販ゲームは、果たしてどれぐい時間がかかっているんだろう。2年、3年かかるっていうのは分かる気がします。
──なるほど。次回作は何か考えていますか。
西村:次回作ですか……今はまだ考えたこともなかったですね。でも、最近流行りのVRをちょっと(今回の作品でも)取り入れてみたんですけど。VRコンテンツをもっともっと広げてみたりとか。あとはLeap MotionとVRを組み合わせてやったら、面白いものができるんじゃないかなとか。実際に手を動かしたりとかで。
──それでは、Isolated Areaをプレイしてくれた人に対して一言メッセージをお願いします。
西村:そうですね、目を凝らさないと分からないような細かい工夫とか、遊びやすくするとか……他にもこだわったところとかはたくさんあるので、そういうところを見てくれると開発者側としてはとてもうれしいです。あと、このゲームは難しいところがたまにあるので、諦めずに先へ進んでくれたら……。先へ進んでクリアして、最後のエンディングを見てほしいなって。本当に全部が全部、こだわって作ったので、途中でやめてほしくないなっていう思いは、どうしても強くあります。
──西村さんにとって、ゲーム開発とは何でしょうか。
西村:今までは趣味だったんですけど、趣味の域を超えそうな……何て言うか。そういうものになりつつありますね。あなたにとってゲーム開発とは何ですかって聞かれると、難しいですね。自分の中ではまだ趣味程度だと思っていたんですけど。他の人から見るとそうじゃなかったんですね。
──では、最後に今後Isolated Areaをプレイする人へ一言メッセージをお願いします。
西村:このゲームは細かいところにまでこだわったので、そういうところを見てくれると開発者としてもうれしいです。また、ちょっと難しい場所もあるんですが、諦めずにクリアしてほしいです。
──ありがとうございました!
『Isolated Area』タイトル概要
夏といえばホラー。隔離地帯Isolated Areaの施設から発せられた救難信号の謎を解くホラー・アドベンチャー。施設内でパスワードを見つけたり、QRコードリーダーで扉のロックを解除して施設から脱出するのがゲームの目的。
チーム:OMNISCIENCE(西村 太雅さん)
2016年度 Unityインターハイ 優勝作品